当センターの特色

 

当センターのモットー

1.心の安全基地となることを目指します。

2.真の専門家によるハイレベルなカウンセリングを提供します。

3.豊富な人材とアプローチから最適な組み合わせをお選びします。

 

安全基地とは?

愛着について研究した最初の心理学者であるメアリー・エインスワースは、さまざまな母子とかかわる中で、子どもとの関係が安定したお母さんと、関係がうまくいっていないお母さんには、一つの決定的な違いがあることに気がつきました。それは、お母さんが子どもの「安全基地」として、うまく働いているとき、安定した絆が育まれるということでした。
お母さんが「安全基地」となっているとき、子どもは情緒的に安定しているだけでなく、外の世界や課題に向かって積極的にチャレンジし、高いパフォーマンスを示すことができるのです。このことは、子どもとの関係だけでなく、すべての対人関係に当てはまることですが、とりわけ、カウンセリングのような支援がうまく行くかどうかを左右します。当センターでは、すべてのカウンセラーが愛着についての深い理解と経験をもち、相談に来られる方の安全基地になれるように最善を尽くします。

 

心理療法の重要性に応える、質を追求したカウンセリング体制

パーソナリティや発達、愛着、心のトラウマといった課題が、身近で深刻な問題となり、薬物療法中心の従来の医学的アプローチでは、改善が難しいケースが増えています。また、病気と言うほどではないけれど、生きづらさを抱えていたり、自分らしさを発揮できないで苦しんでいたり、親関係や家族の問題で悩んでいるという人も非常に増えています。
こうした課題に対処するためには、カウンセリングをはじめとする心理的アプローチが非常に重要になります。

ところが、日本では長く精神医療を中心とする安易な薬物療法に頼ってきたため、心理的アプローチを行える真の専門家が育っていないのが現状です。臨床心理士など専門資格をもっている人でも、心理検査が主な仕事で、実際の心理カウンセリングの技量や経験が不足しているということも多いのです。

プロカウンセラーとして求められるハイレベルなカウンセリングや認知行動療法、トラウマケア、愛着アプローチなどの専門技法に熟練したカウンセラーは、まだ稀にしか出会えません。

また、国家資格化が遅れたこともあり、十分な教育やトレーニングを受けていない人がカウンセリングに携わっているという場合もあります。医療的な対処が必要な状態なのに、素人的な判断で不適切な心理療法を受けると、病状を悪化させるなどのリスクも懸念されます。ようやく昨年、心理専門家の国家資格として公認心理師が誕生し、医療との連携もはかりながら、専門的な知識に基づいたカウンセリングの基盤が整備されようとしています。

当センターでは、こうした実情を踏まえ、知識、経験、資格、実績、人格の点で、厳しく選抜したカウンセラーに、さらに密度の濃い研修を行い、ハイレベルなカウンセリングを提供できるように養成体制の充実を図っています。また、サーパービジョン体制をとり、カウンセリングの方向性や内容をチェックするとともに、顧問医師が医学的な立場からも、リスク管理を行う仕組みになっております。

 

豊富な引き出しから多様なアプローチを提供

心の問題はさまざまなです。どんな優れたアプローチも、どの問題にも対応できるというわけではありません。一人一人課題が異なり、それに応じて適するアプローチも異なってきます。当センターでは、一つのアプローチに限定せずに、各人に応じたアプローチを選択して、その人の課題に合うように、仕立て直す必要があります。
 当センターでは、来談者中心のカウンセリングは無論のこと、認知行動療法、トラウマケア、愛着アプローチ、トレーニング、表現的アプローチなど、さまざまな技法から、もっとも適したアプローチをお選びすることができます。

 

   

当センターが得意とするアプローチと専門プログラム

 

カウンセリング

カウンセリングは、ロジャーズによって確立された来談者中心療法が、現在も広く用いられ、その有効性が実証された方法です。共感的な傾聴をベースに、クライエントの気持ちにより添いながら、クライエントの思考の流れや主体性を大切にする方法です。
当センターも、共感的なカウンセリングをもっとも基本的な方法として、重要視しています。ここに挙げた以外にも、さまざまな専門的アプローチやプログラムがあります。

 

認知行動療法

うつや落ち込み、不安やパニック発作、対人関係や行動上の問題などの根底には、自分が意識しないうちに、きっかけとなる出来事に対して自動的にネガティブな価値判断をしたり、過剰で偏った受け止め方をしていることが悪循環を形成しています。こうした自動的な反応パターンに気づき、それを修正していくことで、うつや不安症状、パニック障害、対人関係や行動上の支障を改善し、適応しやすくする治療法です。社交不安障害やパーソナリティ障害、強迫性障害、依存や嗜癖などの問題にも有効です。

 

心理教育

自分の状態や病気について、原因や特性、対処法などを学ぶことによって、理解を深めるとともに、無用な不安や回避による悪循環を防ぎ、適切な対処ができるのを助けます。
さまざまな問題について、心理教育はとても有効な方法です。軽度な場合や回復意欲が高い場合には、心理教育だけで大幅に改善することも珍しくありません。当センターでは、さまざまな専門プログラムに、心理教育を取り入れています。

 

解決志向アプローチ

原因を調べることよりも、問題を解決することを優先するカウンセリングの方法で、問題にある程度向き合い、克服しようという意思がある場合には、とても有効な方法です。その人がどうなりたいのか、という点を重視し、主体的な問題解決を応援します。当センターでも重視しているアプローチの一つです。

 

動機付け面接法

人が悩みにとらわれ、動けなくなってしまうのは、両価的な葛藤(反対の気持ちの間で板挟みになること)に陥るためです。動機付け面接法は、両価的葛藤を明確化し、それを克服していくことで、自分を変えようという気持ちや行動を強化する面接技法です。
 依存症の改善のために開発された技法ですが、さまざまな場面で取り入れることができます。

 

愛着アプローチ

愛着とは、対人関係の土台をなすもので、母親と生後半年~一歳半頃の時期に基礎が育まれ、その人の安心感や対人信頼感の土台ともなる仕組みです。オキシトシンというホルモンによって司られ、オキシトシンには人との関係を円滑にしたり愛情を維持する作用やストレスや不安を和らげる作用があります。愛着が不安定で、オキシトシン系の働きが悪いと、うつや不安、傷つきやすさ、潔癖さの原因となり、慢性のうつや気分障害、依存症、摂食障害、適応障害などを引き起こしやすくなり、また発達の課題がある人では、症状や問題行動が強まったり、適応力の低下を招いたりします。愛着アプローチは、愛着の安定化をはかり、オキシトシン系の働きを強化することで、上記のような状態の改善をはかるものです。児童・青年では、親と一緒に取り組んでもらい、結婚されている成人の場合には、御夫婦で取り組まれることが効果的です。愛着アプローチでは、症状自体を改善しようと取り組むのではなく、その人と重要な他者との関係を改善することにより、結果的に症状も良くなることをめざします。ほかの方法では、なかなか改善しないケースにも、効果が期待でき、いま注目されています。親子関係の問題や慢性的な自己否定感に苦しんでいるケースでも有用です。

 

愛着改善プログラム

愛着アプローチでは、安全基地となってくれる人の存在が必要です。しかし、現実には家族や身近な人が安全基地となってくれることが難しく、協力を期待しづらいケースもあります。また、ある程度、自分の抱えている問題に自覚が生まれ、自分でもなんとか乗り越えたいという場合もあります。しかし、通常のカウンセリングや認知行動療法などを受けてこられたけれども、不安定な愛着の問題や愛着トラウマがなかなか改善しないというケースも少なくありません。もっと有効な手立てはないのか。そうしたニーズに応えるべく、これまで積み重ねられてきたさまざまな経験や手法を集大成して作られたのが、愛着の課題に焦点化した不安定型愛着改善プログラムです。その方の愛着スタイルに応じて、両価型愛着改善プログラムと回避型・回避性パーソナリティ改善プログラム、恐れ・回避型愛着改善プログラムの三つが用意されています。
いずれも、各段階の課題をクリアして、次に進んでいくようになっており、カウンセリングであると同時に、トレーニングとして取り組めるようになっています。

 

修復的愛着療法

親子間の傷ついた愛着を修復するアプローチです。ホールディングやインナーチャイルドの技法をもちいて、抵抗なく愛されたい、愛したいという気持ちを喚起し、スキンシップや封じ込めてきた思いを語ることを通して、絆の修復をサポートします。

 

社交不安障害改善プログラム

人前で話すのが苦手で、避けてしまうといった社交不安障害は、とても頻度の高いものです。せっかくのチャンスを避けてしまうことで、能力を発揮することができないというケースも多いと言えます。このプログラムは、社交不安障害の改善に有効なさまざまな方法を組合せ、トータルな訓練が行えるようにしたものです。認知行動療法やエクスポージャー、森田療法、ACTの手法も取り入れ、さらにトレーニングと組み合わせることで、実践的な改善を目指します。

 

マインドフルネス

慢性的なうつや空虚感、自己否定や自信欠乏で苦しんでいる人に、今とてもお勧めで効果的なのが、マインドフルネス療法です。マインドフルネスは、どんなものごとも価値判断せずにありのままに受け止め、感じる心のありようのことです。うつや空虚感に囚われやすい人は、とかく今の状態を、理想の状態と比べてしまい、ダメだとか嫌だかと、すぐに価値判断してしまう癖があるものです。それは、理想の状態や目標達成に向けて努力することが、価値のあることだという生き方を知らずしらず行ってきた結果でもあります。そういう自分だけを認めてもらえたということも関係していると思います。でも、そうした心のもち方は、物事がうまくいかないときには自分を苦しめてしまいます。マインドフルネスでは、ありのままの自分をありのままに感じることの素晴らしさに気づくという、新しい視点を体験することで、価値判断にとらわれない豊かな生き方を、頭だけでなく心や体の体験を通して身に着けていきます。

 

トラウマケア

人はさまざまな心の傷をかかえています。命にかかわるような体験をしたり、ショッキングな出来事から心的外傷を生じ、それが長期にわたってその人を苦しめるPTSDだけでなく、最近より多く人にみられるのは、小さな傷つきが積み重なって、それがある限界を超え、過敏さやネガティブな気分・思考が慢性的に続いたり、傷つくことを避けようとして、社会生活や対人関係が消極的になり、適応力が低下してしまっている状態です。また、親子関係や夫婦間で傷つけられた体験が、その人の足を引っ張っていることも多いと言えます。これまで、そうした心的外傷を改善する手段は限られ、長い時間を要するのが普通でしたが、近年、いくつかの有力なアプローチが開発され、比較的短期間に、改善が得られるケースも増えてきています。

 

ハコミセラピー

イメージを活用することで、トラウマとなった状況を再現し、克服していくことを助ける強力なセラピーの手法です。長年未解決だった問題やトラウマ、とらわれをほぐしていきます。専門的な訓練を積んだセラピストしか行うことができません。

 

トレーニングとコーチング

人前でうまく話せないとか、コミュニケーションがうまくとれない、対人関係でうまく立ち回れない、話が聞き取れないなど、さまざまな実践的な課題では、カウンセリングだけでは十分なサポートになりません。実際に練習をしたり、ロールプレイをしたり、実践的な訓練を積むことも必要です。
 当センターでは、ロールプレイやスピーチ・トレーニングを中心とするソーシャル・スキル・トレーニング、ワーキングメモリーや作業課題による認知的トレーニング、現状分析やプランニングを強化し、戦略的に行動できる力を高める訓練などを、その人の課題に応じて組合せ、行っています。カウンセラーに後押ししてもらい、一緒に取り組むことで、楽しみながら実践的スキルを高めていきます。
 トレーニングにおいては、カウンセリングも行いますが、課題を突破するために勇気や意欲を高め、危険や失敗を防ぎつつ、行動の後押しをするために、コーチングの手法を併用することが多いと言えます。

 

発達支援プログラム(発達トレーニング)

発達障害の方では、眼球運動や凝視がスムーズに行えなかったり、左右のバランスや目と手の協働動作がうまくできなかったり、聞き取りが苦手だったり、筋緊張が亢進していたりといった神経学的な特徴がみられます。さらに、イメージを取り扱う能力やワーキングメモリー、心の理論、部分を全体に統合する能力といったものにも課題がみられることがしばしばです。各人の特性分析を踏まえて、オーダーメイドでプログラムを用意し、必要なトレーニングを行います。従来から行われている感覚統合療法に加えて、最新の研究成果を踏まえ、神経の発達や統合を促すさまざまなトレーニングを組み合わせて行います。楽しみながら、遊びながら、スキルや共感性を高めていくことをめざします。

 

学習障害支援プログラム

がんばっているのに、勉強が身につかない、成績が伸び悩む、ミスや聞き漏らしが多い、計算はできるが文章題が苦手、漢字の書き取りが苦手といったことでお悩みの方は、少なくないと思いますが、そうした背景には、しばしば軽度の学習や注意の問題がひそんでいます。ただ、無理やり勉強させようとしても、本人の力ではどうにもならず、勉強嫌いが強まってしまうだけです。こうしたお子さんが躓きやすい問題には、その特性に即した指導や学習法が必要です。学習障害や注意障害の指導のノウハウを採り入れた支援プログラムを、各人の課題ごとに用意し、それに取り組むことで、「わかった!」「できた!」という体験を得られやすくなります。学習支援を通して自信を回復することで、情緒や行動面での改善も期待できます。